オーディオミキサーとワタシ
「ミキサー」といえば台所の道具よりは音楽スタジオにあるミキサーの方が身近なワタシです。
まれに「ミキサーの操作教えて」と言われて説明してみるのですが、これがむつかしい。相手にわかるように説明できた試しがない。しかもイライラ「される」こともしょっちゅうで情けなくなります。今は原理原則や基本の使い方ではなく使いたい状況を聞き取ってワタシがセッティングした状態をカメラで撮影してそのまま再現してもらうことでなんとか対応しています。
とはいえ、シロートなのでライブハウスなんかでサブミックスをいくつも作るようなことはできません。(ex:「すみませーん!キーボードのところ、ボーカル多め、リバーブ少なめでお願いします〜!」←ラーメン屋並みに注文を聞いていただける)ワタシは初級くらいの腕前です。
それでも、知っていることを自分が上手に説明できるようになるために、いちど書いて整理してみます。
Let's go !
どうやって覚えたのか分解してみる
ラジカセ
- ラジオ、カセットテープの発音ができるが、一度に二つの音源を再生することはできない。
- ラジオをカセットテープに録音できるが、ラジオとインマイク(たいていこの機能がついていた)を二つ同時に録音することはできない。
LL教室
高校にLL教室ってのがあって、立派な設備があったのですが、あまり活用されていない様子でした。LL教室のカセットテープの機械って4トラックのMTRと同じ機能があるんですよ。職員の方にお願いしてLL教室の操作室で2トラックの音源を作りました。
仕組みは本来A面として使うテープをA-1、A-2と2本に細く割って二つの音源を並べて録音するということ。そのための特別なカセット録音機があったのです。作ったのはBGM付きのラジオドラマのようなもの。先にセリフを録音しておいて、後からグラスの氷の音(カラカラ)とか、蝉の声とか入れた。
音楽練習スタジオ
バンドでキーボードを弾くときはスタジオでシンセサイザーなり、エレピなりをスタジオのミキサーにつないでスピーカーから音を出す必要があります。キーボードアンプを借りるという手段もあるのですが、バンドの音を聴くときにどうもこの方法がワタシには合わなくて、たいていミキサーを通して音を出していました。
バンドの練習ではまずドラマーの音量との戦い、ギターリストのアンプの向き、ボーカリストとの取り合わせなどなど。なぜかベースとのせめぎあいにはならない。音域が違うためなのか?「聞こえない」と「うるさい」の間でフェーダーを上げたり下げたりする人生……。ここで、実践的にミキサーの「わりとさわるところ」と「さわる必要のないところ」を覚えたようです。まず覚えるべきは以下の4つ!
- 入力したチャンネルのGAIN
- 同じく音量フェーダー
- 出力の音量フェーダー
- イコライザーは真ん中に戻しておく
シンセやエレピの音作りも必要なので、スタジオではイコライザーはオフにして自分の楽器の調整をするといいと思います。ライブハウスなど本番では状況に応じて楽器で足りないエフェクトを足してもらう程度にしないとリハーサルで詰みます。
で、ミキサーってなによ
ミキサーを使えば、歌も、シンセサイザーも他の音源もミックスしてスピーカーから音を出せるっていうことです。音量のバランスを整えることもできるし、全体の音量の上げ下げもできます。
一番肝心なことは「入れる」部分と「出す」部分があるということだと思います。
フェーダー上げたのに音でない→メイン出力のフェーダー上がってない、というのはよくあることです。
では「音、出ない」とき頭から順番に切り分けて原因を探ってみましょう。
入り口付近で気をつけること
- そもそもそのケーブルは?ー断線はあるあるです。あと、標準プラグと同じ大きさ形でもステレオケーブルだったりすると不具合は起きやすい。ステレオとモノラルのケーブルの見分けかたはggってください。他は形状が違うと刺さらないので恐らくOKです。
- 音源の電源は?
- 音源の音量は?ーシンセサイザーなら8割から10割でいいと思います。
- マイクの種類は?ーコンデンサーマイクには電源供給のために48Vのスイッチを入れねば。
- 48Vのスイッチは?ー電源スイッチと別にスイッチがある。さらにチャンネルごとにボタンがある機種に注意。
- GAINは?ー「得る」という意味通り高めを狙った方が後々便利な気がする。マイクの場合はハウリングの危険があるのでマイクを扱う人によって設定を調整するのが吉。なんの気無しにマイクを手で覆う人とか!
- PADスイッチのON/OFFは?ーONにすると入力された音が小さくなる。
さて、ではフェーダーをあげて音が出るかどうか!
出口付近で気をつけること
- 一番右から何本かが「出口」に関するエリア。左側と見た目に少し違うはず。地の色とか、スイッチ類の色とか。そのフェーダーをあげると全部が混ざった音が出る。
- オン/オフスイッチがある機種に注意
- ステレオフェーダーが2本になっている場合は基本として右も左も同じくらいあげる
- 一番右のメインミックス以外のフェーダー上げても音はでない
ミキサーの中で便利に操作できることは多いが……
音が出なくて困っているとき、不必要なボタンがオンになっている事がままあります。まずは全てオフにしてみること。多くは便利に使う機能ですが、基本操作の邪魔になる場合が多いです。「必要なところだけさわる」のは大切なポイント。
そして、キレられる事が多いのもこれらの便利機能。機械の中であっちへ行ったりこっちへ行ったりするので混乱必至ではあるのだが……。
- メインミックスとは概ね会場のスピーカーへの出力
- イコライザーや各種エフェクターを使うためのSEND/RETURN
- 会場全体の音をスピーチ用とは別に集音してサブミックスってのを作れる場合がある。今時ならインターネット配信用に二つ目のミックスを作るなんて需要もあるでしょう。名称がコントロールルーム、とか3、4チャンネルなど変わるのもイライラポイントか。mute(消音)ボタンと兼用だったりして確かに煩雑……かな?
全てを一度に覚えるのはむつかしい!という場合は原則をまず覚えるのがいいと思います。
- 音の流れを川の流れだと思う
- 川は上から下へしか流れられない
- SEND/RETURNは横道に外れて色付けされて戻ってくる
- サブミックスは途中で枝分かれして別の河口へ注ぐ
全部知っている必要なんかない
ここまできてミキサーの概略、初級攻略ができましたでしょうか。ワタシの頭の中は多少整理されました。ここで(え?今さら?)基本姿勢をまとめておきます。
- 必要な場所だけさわり、他は「0」か「まんなか」にしておく
- 耳から聞こえる音が希望通りでないときに対処法を一つずつ覚える
この「希望通りでない」というのが大切で、「音、出ない」から始まって、音量、音質、用途による使い分け、などが考えられます。上記「便利機能」なんかはまさに「使い分け」のための機能なので必要なければ知らないでもいいのです。
おわりに
ワタシは自分が所属している団体の会場に置かれている機材を20年くらいかけて手探りで覚えました。組んである機材を全部バラして組み直したりもしました。本も読んだし、ネットの情報も役にたちました。GAINとフェーダーの違いが納得できたときは嬉しかったです。それもこれも「必要があって」調べたのであって、当初は知らなくてもなんとかなりました。
学校や職場やサークル活動で……いろんな場所で音響装置と出会って、ちょっとだけでも使い方を知りたい、違和感を感じている!という方の参考になれば嬉しいです。